EFHWアンテナの比較
正月休み最終日、JG1GPY局のご協力のもと、先日作成したBagworm-EFHWとフルサイズのEFHWアンテナをWSPRを使って比較してみました。
フルサイズEFHWとの比較で検証したかったポイントは以下の2点です。
- トラップによりエレメントが短縮されているがどの程度影響があるのか?
- 10mの釣竿で鉛直に展開した場合と、7m程度の釣竿で途中で折り曲げて展開した場合にどの程度差があるのか?
実験方法
14MHzでWSPRを30dBmで送信し、以下のように展開方法を変えたアンテナを交互に切り替えながら6〜10フレーム送信します。
次に各アンテナにおけるレポータからのSNRのレポート回数を比較し(QSBがあるためSNRの値そのものは比較していません)、その結果でアンテナの優劣を判定することにしてみました。実験結果はWSPR.orgのスポットサーチからダウンロードしたものを表計算ソフトに貼り付けたもので集計しています。また送信時刻でアンテナの種別を区別できるようにしました(下表)。レポータのマップはSOTABeamsのDXPLORERを使っています。
実験1
今回の実験で電波の届いたレポーターのグリッドロケータを示したマップです。本日は伝搬状況が良かったようでVR2、VK、西海岸からもレポートがありました。
最初の実験では以下のような条件でアンテナを設営してみました。
・アンテナ1:フルサイズのEFHW(LC共振器付きチューナ)を10m竿で鉛直に展開
・アンテナ2:Bagworm-EFHW(マッチングトランス)を7m竿でL字に展開
結果1
アンテナ1が42回のスポット、アンテナ2が28回のスポットとなりました。いずれのアンテナでもVK/W西海岸まで届いていますが、フルサイズの方が国内も含め、より多くの局からレポートうけています。
実験2
今度はアンテナの展開方法を逆にしてみました。
・アンテナ1:Bagworm-EFHW(マッチングトランス)を10m竿で鉛直に展開
・アンテナ2:フルサイズのEFHW(LC共振器付きチューナ)を7m竿でL字に展開
結果2
アンテナ1が45回のスポット、アンテナ2が41回のスポットになりました。いずれも国内外からのレポートがありますが、前回ほど差は出ていません。
実験3
実験2と同じアンテナの条件で距離が100km以内の直接波で比較してみました。
・アンテナ1:Bagworm-EFHW(マッチングトランス)を10m竿で鉛直に展開
・アンテナ2:フルサイズのEFHW(LC共振器付きチューナ)を7m竿でL字に展開
結果3
下記の表のBagworm3がアンテナ1、Bend2がアンテナ2になります。
スポット数に違いはありますがSNRはそれほど大きな差は無いようです。
実験4
実験2と同じアンテナの条件でDXを中心に比較してみました。
・アンテナ1:Bagworm-EFHW(マッチングトランス)を10m竿で鉛直に展開
・アンテナ2:フルサイズのEFHW(LC共振器付きチューナ)を7m竿でL字に展開
結果4
実験3同様、下記の表のBagworm3がアンテナ1、Bend2がアンテナ2になります。
こちらではスポット数がアンテナ1では17回、アンテナ2では16回となっています。伝搬状態は思ったより安定してるようで同じレポータのSNRに大きな変化はありませんでした。(若干アンテナ1の方が良いSNRになっているような気がしますが微差か?)
考察
以前の実験の通り、10mの竿で展開したフルサイズのEFHWに比べて、7mの竿で展開したL字型のEFHWは性能が劣化することが判りました。
またフルサイズのEFHWはトラップで短縮されたBagwormに比べて途中で折り返した際の影響が若干少ないようです。トラップコイルの影響で電流腹の位置が下がっているため、より影響を受けているのかも知れません。トラップコイルの影響は思っていたより大きかったようです。
一方、Bagwormでも10m竿で垂直に展開すれば、ほぼフルサイズ並みの性能を発揮することも判りました。ただ10m竿を展開するとなると竿の重さに加えてステーやペグ等が必要となるため荷物が増えるのが難点ですね。
今後実際のアクティベーションで使い勝手も含めて各アンテナの評価を続けていきたいと思います。