Glue-EFHWとGPの比較(WSPR編)
前回のバーチカルEFHWとGPの比較実験では、バーチカルEFHWを7mの釣竿で展開したためエレメント全体が垂直に展開できず本来の性能が出せていない可能性がありました。
そこで普段使っている10mのグラスポールを使ってGPとの比較実験をしてみました。今回からはWSPRを使って評価をしています。
事前準備
・WSPR送信機
AndroidアプリのWSPR Beaconを使いました。スマホのオーディオ出力とKX2のマイク入力端子を接続しVOXを用いて送受信制御をしています。またKX2はオーディオのコンプレッションやイコライザのかからないDATA Aモードを使っています。
事前の入力レベルの調整ではKX2の出力を0Wとし、WSPR BeaconのToneボタンを押してテストトーンを入力。送信状態でALCが振らないレベルまでマイクゲインを絞っておきます。
Ultimate3Sという専用の送信機も用意してあるのですが、現在変更申請中なので今回はおあずけです。
・比較するアンテナ
今回はGlue-EFHWを10mのグラスポールでほぼ垂直に上げてみました(記事冒頭の写真)。GPは7mの釣竿で展開。給電点は1.5m位まで持ち上げてラジアル3本を展開しています。アンテナは共にSWR 1.5以下となっています。
実験手順
KX2の出力を27dBm(0.5W)、30dBm(1W)に設定し、各アンテナで各々4回分のフレームをEFHW→GPと切り替えながら送信しています。
アンテナ毎に周波数を変えることで、WSPRのデータベースを検索した際に時間・周波数でどちらのアンテナのビーコンが受信されているかわかるようにしました。1フレーム2分なので都合32分間、アンテナの切り替え等も含めると計測には1時間近く時間がかかってしまいました。
実験結果
こちらがSpotの生データです。低い周波数(14.07000MHz)がGP、高い周波数(14.97200MHz)がEFHWとなっています。0706Zまでが27dBm(0.5W)、0724Zからは30dBm(1W)で送信しています。
各レポータの位置関係は以下の通り。高々1Wという出力と小さなアンテナで一万キロ近く飛んでおり、WSPRの符号化利得のご利益が素晴らしいことが良くわかります。
考察
短い時間ですが単純なスポット数の比較ではバーチカルEFHW 7回、GP3回とバーチカルEFHWに軍配が上がりました。バーチカルEFHWはアンテナ的にはフルサイズのバーチカルDPですので1/4λ GPとの差がでたようです。1/4λGPはもう少し給電点を上げると良い結果が出そうですが7mの釣竿ではちょっと難しそう。
10mのポールとなると自重もあり風などの影響を考えると山頂ではステーを張らないと立てるのは難しいと思います。一方で7mの釣竿では立ち木にゴムバンド等で固定することもでき荷物も随分軽くなります。この辺のトレードオフをどうするか悩ましい結果となりました。
そこで一つの指標としてスポットされた局までの距離の総和を装備の重さで割ったDW Ratio(Distance Weight Ratio 当局の造語です^^;;)を調べてみました。
7m釣竿が340g、10mグラスポールが1300g、GPが120g、EFHWが200gとなります。
またGPの距離の総和は27825km、EFHWの距離の総和は48036kmとなりました。
ここでDW Ratioを求めてみると、EFHW = 32.0km/g GP=60.5km/gと1g当たりの飛ぶ距離はGPの方が優れていることが判りました。
なんだか良くわからない結果(^^;)ではありますが、ここではお手軽SOTAにはGPが良いのではないかという結論にしたいと思います。
今後の課題
今回はスポット数の比較という単純な評価しかできなかったのですが、専用の送信機を導入し、同時に複数のアンテナを評価すれば具体的な差が判ると思います。またアンテナ間の距離を十分に離すことが出来るのでお互いの干渉を減らすこともできると思います。
加えて国内が開けているタイミングで実験することで国内向け・DX向けと言われるアンテナが具体的にどの程度差があるのか調べてみたいと思います。